離婚後の養育費と面会交流


ページ番号1003457  更新日 2021年6月8日


両親の離婚は、子どもにとって大きな出来事です。
子どもの健やかな成長のためにも、離婚の際には父親・母親としてできることをあらかじめ取り決めておきましょう。

民法では、協議離婚の際に子どもの監護者(親権者)だけでなく、「養育費」や「面会交流」についても定めることとされています。また、その取り決めをする際には、「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」とされています。

養育費とは?

子どもが社会的・経済的に自立するまでに必要な衣食住の経費や教育費、医療費などの費用をいいます。
親権者ではなくなり子どもと離れて暮らすことになった親も、子どもの親であることに変わりはありません。法律上の親子関係も存続し、子どもの成長を支えるという親の責任も変わりません。
離婚によって子どもと離れて暮らす場合でも、親には子どもの養育費を負担し、子どもが自分と同じ水準の生活をできるようにする強い義務があります。

面会交流とは?

子どもと離れて暮らしている親が、定期的・継続的に子どもと会って話をしたり、一緒に遊んだり、電話や手紙などで交流したりすることをいいます。
両親の離婚を経験した子どもは、表面上はともかく、一方の親と離れることを寂しいと感じたり、両親の離婚の原因が自分にあると思ったり、また、今後の生活について心配したりします。
面会交流はそんな子どもに、深い安心感と自尊心を育むため、両親がそれぞれの立場から大切な存在として愛していることを伝える方法です。

養育費や面会交流の取り決め文書を作成しましょう

養育費の支払いや面会交流の取り決めに関する文書を作成する際の参考として、法務省のホームページにおいて「子どもの養育に関する合議書」のひな形や「子どもの養育に関する合議書作成の手引きとQ&A」が公開されています。
この合意書は、子どもの養育費と面会交流についてお互いの約束事を証明する文書です。離婚届を出す際に提出する必要はありませんが、2通作成して、双方が1通ずつ保管してください。
なお合意書は、父母の間の契約書ということにはなりますが、家庭裁判所における審判書や調停調書とは異なり執行力がないため、取り決めの内容が守られなかったときに、それだけでは相手方の財産に対して強制執行を行うことはできません。
合意書を「公正証書」として作成しておけば養育費については、家庭裁判所における審判書や調停調書と同様に執行力を有する文書となりますので、未払いなどのトラブルが起きた時に備えることができます(ただし、相手方の執行認諾文言が記載されていることが必要です)。
公正証書の作り方や手数料などについては、最寄りの公証役場にご相談ください。

トピックス

改正された民事執行法が令和2年4月1日から施行されます。
改正された民事執行法(下記参照)を活用することにより、民事調停などで支払義務が確定されているにもかかわらず、子どもの養育費を支払わない債務者(子の親)に対して、強制執行(財産の差押え)手続きを申し立てやすくなります。

民事執行法の改正内容

  1. 財産開示手続きを申し立てられる申立権者の範囲を、公正証書(執行認諾文言付き)により金銭の支払いを取り決めた者や仮執行宣言付判決を得た者等へ拡大
    改正前は、確定判決等を有する債権者のみが申し立て可能。
  2. 裁判所からの財産開示手続きに違反(裁判所への出頭拒否・虚偽陳述)する債務者への罰則(刑事罰:6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金)を強化
    改正前は、30万円以下の過料のみ。
  3. 第三者からの債務者に関する財産情報の取得(情報提供命令)手続きを新設
    1. 金融機関に対し、債務者の預貯金や上場株式、国債等に関する情報の提供を裁判所が命じる手続き
    2. 財産開示手続き後、登記所に対し、債務者の土地や建物等の不動産に関する情報の提供を裁判所が命じる手続き
    3. 財産開示手続き後、市町村や日本年金機構等に対し、債務者の勤務先(給与支払者)に関する情報の提供を裁判所が命じる手続き
      (「養育費等の支払」、「生命又は身体の侵害による損害賠償金の支払」を内容とする債務名義を有している債権者のみ利用可能)
    改正前は、強制執行の申し立てのために、債権者みずからが、又は債権者が弁護士に依頼して強制執行の対象となる債務者の財産を特定することが必要。

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