薪ストーブ(暖炉等)を設置予定又はお使いの方へのお願い


ページ番号1003851  更新日 2023年8月24日


[画像]イラスト:薪ストーブ(5.8KB)

やわらかい輻射熱、ゆらゆら揺れる直火がもたらす心地の良い雰囲気。近年ご自宅に薪ストーブを、暖房や調理を目的に導入されるご家庭が、増えてまいりました。しかし、普及に伴う思わぬご近所トラブルも、同時に増えています。薪ストーブそのものを規制するような法律・条例は現状存在しないため、これに伴うトラブルは基本的に、ご近所同士で解決していくよりほかありませんが、まずは設置・使用している側の気遣いにより、そもそもトラブルにならないよう、心がけていく必要があります。

薪ストーブ(暖炉等)の設置を検討されている方へ

設置場所を専門家と工務店を交えて、慎重に検討してください

薪ストーブを使用する時期は主に、晩秋から春先です。その地域で、その時期に吹く風向きを調べ、煙が発生した際の行く先を把握しましょう。隣家の窓に煙や煤が向かうような煙突の設置は避けなければなりません。薪ストーブ専門家(取扱業者等)と、建物を施工する工務店(住宅メーカー等)の担当者を交え、慎重に検討しましょう。

煙突は可能な限りまっすぐ、高く施工してください

煙突内で排気が停滞して冷えてしまうと、煤や付着物が増えてしまいます。横に走らせる部分を極力排し、できれば屋根を貫通させるなど、熱いうちに排気できる構造にするよう、心がけましょう。二重断熱構造の煙突素材等を使用し、排気の保温と万が一の煙道火災にも備えましょう。排気の温度を高温に保つことと煙突を高くすることで、排気がスムーズに上昇します。但し、マンション等高層建築物の付近やひな段状の住宅地に設置する場合には、上昇した排気が思わぬ遠方からの苦情を招くこともあります。専門家を交え、楽観視することなく充分に考えましょう。

ご近所にあらかじめ説明し、ご理解を頂く工夫を

施行前に、できれば専門家を伴い、ご近所の方へご挨拶がてら説明を行いましょう。ご近所の方からご理解を頂かないと、使用後に思わぬところからの苦情で、使用できなくなる場合もあります。ご近所の方に呼吸器系の持病がある場合などには、設置を断念する決断も必要になります。事前にお話をすることで、初めて得られる事情や情報もあります。事前のご近所への周知は、とても大切です。

既に薪ストーブ(暖炉等)を設置・使用されている方へ

点火する時間を再検討してください

どんなに性能の良い薪ストーブでも、性質上本体と煙突が冷えている時に煙や煤の発生が起きやすいものです。ご近所が窓を開ける、洗濯物を干すなどの時間と、点火する時間が重なっていませんか?出来るだけ近隣の方の生活時間を把握し、配慮を常に怠らないようにしましょう。たとえば、近隣に洗濯物や布団が出ている日中は使用せず、夜のみ使用する等の工夫も必要です。

薪の選定は、慎重かつ真剣に

しっかり乾燥させた薪を使いましょう。木の種類と煤やタールの発生状況にも、密接な関係があります。点火時にも専用のチップやペレットなど、煙の出にくいものを使用し、新聞紙などの紙類は使わないようにしましょう。また、防蟻剤や塗料、樹脂などが付着している可能性があるので、建築廃材は薪に使わないでください。ついでにごみを燃やすなどの行為は都条例「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」で禁止されている「焼却行為」に当たり、条例違反となります。絶対に行わないようにしましょう。

煙突掃除は定められた期間と回数を遵守してください

専門家による定期的な点検と清掃を依頼しましょう。煤の飛散を防ぎ、煙道火災予防にもなります。

薪の保管場所に気を付けてください

道路沿いなどに無造作に積み上げると、放火や薪がぬれる原因にもなります。また、壁際に積み上げると、白蟻や蜂などの害虫を呼び寄せてしまう恐れもあります。ご自宅から離しても、隣家の壁に近いところに積み上げれば、隣家に被害を誘発する原因となります。乾燥状態を保ちつつ、安全に保管できる場所を確保しましょう。

薪割りの音は、受け取る側によっては騒音被害になります

チェーンソーやエンジン式薪割機などを、休日の朝から、赤ちゃんの昼寝する時間から、稼働させていませんか?斧の音や薪を積み上げる音も、意外と遠くまで響くものです。薪割りが騒音とならないよう、充分方法や時間帯に、注意を払いましょう。

魅力やメリットも多い薪ストーブや暖炉ですが、いつまでも快適かつ安全に使用し続けていくには、使用している人の知識と努力が不可欠です。構造上、煙と煤を発生させるものであることは間違いなく、この点でご近所の方への配慮は特に大切です。「こういうものだから、仕方ない」などの自分勝手な考えで使用するものではありません。万が一ご近所から苦情があった場合には、真摯に受け止めて、上記のようなことを再検討する心がけも必要です。今まで苦情がなかったからと言って、それは「迷惑をかけていない」のではなく、「周囲が我慢している」だけかもしれません。定期的に近隣の方たちに、「煙でご迷惑ではありませんか?」とうかがいましょう。周囲の状況と環境にしっかりと配慮・対応できる人だけが、市街地でこのような楽しみを味わう資格を得られるものです。


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